近代手法の限界は、各場ごとのこの個別的対応を放棄したことによるのではないか。場所性を否定し、均一空間を前提とし、自己の論理で増殖させる人間の、ある一個人の一方的欲望によってきたのだ。個別性ということは、何も建築に限ったことではない。個別性という切り口はさまざまな分野で現代を浮き彫りにする。個別別生産とは逆の、つまり均一性によって保証される大量生産、大量消費は、自然環境の破壊を引き起こす。たとえば、原発の局所での大量エネルギーの生産。これは一歩誤ると大惨事を引き起こす。それに化石エネルギーの大量消費。エネルギー生産、消費の分散化、複合化が考えられなければならない。木材は、かつて個別的に地域の川上、川下の間で生産、消費が行われ、保全されてきたが、環境の全体性を無視した熱帯雨林の大量伐採は地球環境にさえ影響を及ぼす。個別的生産は地域的であり、大量生産、均一生産は非地域的に経済と結びついて他を侵略する。一昔前のことになってしまったが、車やコンピュータを世界中に売り回り、エコノミックアニマルとばかにされることになる。
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